■ 抄録・要旨
| 埼玉県環境科学国際センターでは、2005年6月から現在に至るまで、埼玉県奥秩父の中山間地にある東京大学秩父演習林栃本作業所で、大気中のオゾン濃度を継続的に測定してきた。この報告では、これまでに得られた測定データに基づいて、奥秩父の大気中オゾン濃度の特性とそのブナ林に対する影響について検討した。
栃本作業所における日最高オゾン濃度の月平均値は、春から夏にかけて高い値を示した。この時季は、奥秩父に分布するブナの成長期に相当する。そこで、ブナの成長期を4月から9月までの6ヶ月間として、この間のAOT40を算出するとともに、その値から大気中オゾンのブナ林に対する影響を検討した。その結果、奥秩父のブナ林は、すでにオゾンによる何らかの影響を受けている可能性が推測された。
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